トップページ > 読書案内 >  3年生季節の本 > 3年生以前に紹介した季節の本
 > 0てんにかんぱい!

3年生向け季節の本

0てんにかんぱい! タイトル 0てんにかんぱい!
著者 宮川 ひろ(作) 小泉 るみ子(絵)
出版社 童心社
line

 算数のテストが61点だった林哲男。「ひゃあ、これはまずい。」とおかあさんの顔がうかびました。先生といっしょに考えなおして100点をつけても、「テストがすんでからわかったって、しょうがないでしょう。」とおかあさんの声が頭の中で聞こえてきます。休み時間に、ふと、教室のすみにおいてある先生の戸だなの算数テスト用紙のあまりが見え、哲男は休み時間のたびに、そのテスト用紙が気になっていました。帰るとき、友だちと校門をでた哲男でしたが、うそをついて教室にもどり、先生の戸だなから算数のテスト用紙をぬきとり、テストのやりなおしをしました。

 かえり道、校門を出たとたん、哲男の足はきゅうに重くなって、のろのろ歩きになりました。そうして向かった先は「双葉造園」という植木屋さんです。苗木のせわをしている「ふたばおじさん」は子どもずきで、よく話をきいてくれるのです。

 おじさんはおせんべいを一まい持たせてくれましたが、哲男は「……………」と「ありがとう」が声にならず、こっくりと頭をさげただけになりました。ふたばおじさんは何も言わず、哲男のことばを待っていてくれました。少しして、「ぼくねえ、算数のテストがねえ…」とすべてを話すとなんと、ふたばおじさんは「わしは小学校1年生のとき0てんをとってかんぱいしたのよ。」といいます。

学校のテストで点が取れなければ意味がないのでしょうか。親であれば誰でも「テストでいい点がとれますように、うちの子はよくできる子だと、先生にみとめてもらえますように。」と「ふたばおじさん」が言うように願うものです。「ふたばおじさん」は、そのことを「かあちゃん病」と名付け、子どもたちに「本当の」勉強の楽しさや「かあちゃん病」によく効く薬を教えてくれます。
Page Top