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タイトル | ぼくのネコにはウサギのしっぽ | |
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著者 | 朽木 祥(作) 片岡 まみこ(絵) | |
出版社 | 学研マーケティング | |
おねえちゃんは、ものすごく“でき”がいい。勉強もピアノもかけっこもなんでもできる。だけど、ぼくの“でき”はすごく、ふつう。だから、おねえちゃんみたいな子どもが、もうひとりほしかったんだな、お父さんもお母さんも、きっと。 ある春のことだった。おねえちゃんが公園でネコを拾ってきた。ふわふわの白い毛に金色の目の、びっくりするくらいきれいなネコ。お父さんははじめ、ネコを飼うことに反対だったけど、おねえちゃんがテストで一番をとるのをひきかえにめでたくうちの子になった。 夏休みが終わってすぐのことだ。お母さんの知り合いで、のらネコの里親さがしをしている“ネコたすけネットワーク”の人が、子ネコを一ぴき連れてやってきた。シャムネコのミックスだというその子ネコは、目や鼻の下に目くそのような茶色いぶちがあって、しっぽもすごく短くてまるでウサギのしっぽだった。みんながさんざん不細工だといってもらい手がなかったのだそうだ。でも、ぼくは、バスケットの中のネコをひと目見たとき、(わあ、かわいいなあ)と思ったんだ。ちょっとおどおどしていたけれど、青い目はきれいにすんでいた。そのとき、ぼくの中に、なんだか大きなもやもやが、ものすごいいきおいでひろがってきた。そして、「お母さん、ぼく、このネコ、ほしい」気がついたらそう言っていた。
できのいいおねえちゃんとふつうのぼく。―――ぼくは、タマと名づけた目だけきれいなやせっぽちの子ネコに、自分のことを重ね合わせます。タマはおどおどしていて気が弱いところもあるけれど、かわいいところもある、タマは他のネコとは比べられない大切な存在で、それと同じように、ぼくもまた自分のかけがえのなさにも気づいていくのでした。表題の「ぼくのネコにはウサギのしっぽ」のほか、二編が入っています。
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