算数の文章題でつまずく子、国語の長文読解が苦手な子、図形の問題で突破口がいつまでも見つからない子がいます。これらの子どもはイメージング力の不足という点で共通の問題を抱えています。
算数の文章題の設定場面を具体的に思い描く力も、長い文章の展開をリアルに追体験していく力も、図形を頭の中で動かしながら突破口を見出す力も、頭の中でイメージを構築していく点では同じです。
ところで、このイメージング力はいつ頃明確になるのでしょうか。文字や数字などの記号を、思考やコミュニケーションのツールとして子どもが使いこなせるようになるには、小学校入学後3年余りかかると言われます。また、図形などを頭の中で操作しながら見えない部分を想像していく力も、だいたい同じころ形成されると言われます。つまり、イメージング力の基礎を築くにあたっては、9歳までに何を体験しておくかが重要なのです。
玉井式は、この文字を読んで状況をイメージする力=「イメージング力」を育成する講座です。低学年の子どもたちにとって、長文を読んで理解することは容易なことではありません。そこで、初めはアニメーションが、文章の内容をイメージするのを手伝います。アニメの物語がそのまま算数の課題場面になっており、実戦的な算数学力が身につきます。また、アニメーションは、段階を踏んで量を減らし、「自分の力で文章を読み解く力」が身に付くよう導いていきます。
学力の土台となるのは言語能力です。言語能力の高い子どもは、学力も優れているのが普通です。なぜでしょうか。勉強は、言葉、それも主に書き言葉を介して行うものだからです。言葉をたくさん知っている子どもは、書かれている事柄をよく理解できます。言葉の引き出しがたくさんあるので考える力に長けています。
言葉には「話し言葉」(音声の言葉)と「書き言葉」(文字の言葉)があります。そして、小学校入学後の子どもたちは、そのうちの「書き言葉」に習熟していくことで、学力を築いていくことになります。 書き言葉は、話し言葉とは質が異なります。話し言葉には、身振りや表情や目つき、さらには目の前にいる人と共有する状況なども伴いますから、相手に伝えやすく、また自分も理解し易いという特色があります。特別な苦労など必要ありません。
ところが、書き言葉はそう簡単にはわからない言葉です。文字の連なりを視覚でとらえ、描かれている状況を絵のようにイメージしなければなりません。相手は目の前におらず、文字だけを頼りに伝えようとしている内容を理解する必要があります。 「書き言葉に習熟することが、学校などの学びの場で効率的に学力を伸ばしていくための絶対的な条件である」と言えるでしょう。
文章を読むとは、活字の流れから一連の意味をもった言葉の固まりをつかみだし、自己のもつ語彙と照合しながら、重要と判断した事柄を記憶に残していくということです。
この作業をするのが、ワーキングメモリー(作業記憶)ですが、低学年児童はまだこの機能が未熟です。語彙のストックが乏しいうえ、活字情報を脳内で処理して記憶に残す態勢が整っていないからです。こうした困難を乗り越え、長文の読み取りに長けた子どもの育成に成功しているのが「玉井式」です。玉井式のどこにその秘密があるのでしょうか。
① 文章に描かれている場面のイメージングを容易にするしかけがある。
語彙も人生経験も少ない低学年児童にとって、見慣れない世界が描かれている文章を理解するのは困難なことです。玉井式では、物語の舞台、登場人物、描かれているできごとなどについての予備知識が子どもの側にあり、著述内容のイメージングが随分楽になります。また、アニメキャラクターの話す声が耳に刻み込まれており、それが文章中の動きや様子を理解するのをサポートしています。
② アニメの続きが文章化されているため、ストーリーの推理を容易にしてくれる。
文章を読む際には、展開を予測し推理する力が求められます。大人でもそうですが、読むときにはただ著述の内容をたどって後追いするのではなく、常に先を予想しながら読んでいるはずです。そうでなければ、物語などを読む際の面白さは半減してしまうでしょう。玉井式の課題で出される長文は、アニメーションで楽しんだ物語の続編になっています。それが、読みの推理に一役買っているのです。
③ 物語が算数課題になっているため、状況をイメージしながら読む姿勢を引き出している。
ただ読んで楽しめばよい物語と違い、玉井式の長文は算数課題になっています。子どもはそのことを踏まえ、自ずと描かれている場面や状況をイメージしながら読むようになります。文章理解に必須の「場面を思い描きながら読む」ということが、自然と達成されているのです。