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2016年度の作品

No.3 『 戦友 』 女学院中/Oさん

 最後の入試を終えた帰り道、この三年間の受験生活を振り返ってどうだったかと娘に尋ねてみました。
 すると娘は一言「楽しかった!」と笑顔で答えてくれました。思いがけない言葉にわたしは驚きました。なぜ?と聞くと、それは塾の友達がいたからとのことでした。
彼女にとって塾で一緒に学んだ友達は、学校の友達とは違う特別な存在だったのです。マナビーテストの前に問題を出し合ったり、休憩時間におしゃべりをしたり、そんな時間が本当に楽しかったのだそうです。
 娘が二歳上の兄の姿を見て、「わたしも塾に行きたい」と言い出したのは、三年生の冬でした。何かとサボろうとする兄とは対照的に、真面目に塾の課題に取り組む姿に私たちは安心していました。ただ娘は超がつくほどのマイペースで、何をするにも時間のかかる子でした。
 六年生になると予習・復習の量も増え、いつもやらなければいけない課題に追われる生活になりました。塾の宿題以外にもご飯やお風呂などすべてスローペース、次第に寝るのがどんどん遅くなっていきました。母としては一分でも長く睡眠時間を取ってほしいと思うあまり、何度も「早くしなさい。」と声をかけたり急かしたりすることがありました。常に時間に追われることは、彼女にとって辛いことだったと思います。
 しかし、娘は一度も塾を嫌がることはありませんでした。むしろ、塾に行くことが楽しみな様子でした。それは、きっと友達がいたからだと思います。しんどいはずの塾も共に目標に向かって学ぶ仲間がいたからこそ最後まで続けることができたのです。
 特に、同じ小学校で同じクラスのKさんとは、志望校も同じで二人で一緒に中学校に通うことを目標にしていました。運動会時期や、秋の学校行事で更に忙しく大変になった時も、Kさんも頑張っているんだと思うと娘も頑張れたようでした。
残念ながら同じ中学校に行くことはできなくなってしまいましたが、目標に向かってお互いが励まし合えた、そんな「戦友」に出会えたことは、娘にとって何よりの宝物です。
 四月から新しい生活が始まります。楽しいことも苦しいことも一緒に乗り越えていける、そんなかけがえのない「戦友」をまた見つけてほしいと思います。
 最後になりましたが、呉校の先生方には、本当にお世話になりました。アットホームな雰囲気で楽しい授業、私がもう一度小学生に戻れるならきっと家庭学に入って授業を受けたいと思います。

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