「受験の主役は、あくまで子ども自身。『今まで色々あったけど、受験して良かった。』子どもが心からそう思えるように、サポートしてください。」
これは、受験を一か月後に控えた最後の保護者会で、先生が言われた言葉です。
私は、この言葉を自分に言い聞かせながら、受験を迎えるその日まで過ごしてきました。
思い返せば、4年生の夏期講習。夏休みを規則正しく過ごすようにと入塾しましたが、初めての授業を受けて、「塾って楽しいよ。」と目を輝かせながら出てきた姿を今でも鮮明に覚えています。
それから約2年半。最初こそ、復習や宿題のペースをつかむために一緒に勉強に取り組んでいましたが、持ち前の頑張り屋さんを発揮し、徐々に自分一人でやるべきことをこなし、「勉強の続きは、もう明日にしたら」と言うことはあっても、「もっと勉強したら」と言ったことはなかったように思います。
それでも、今日を迎えるまで、課題が多すぎて涙を流したり、旅行に行っても宿題を入れたリュックを背負って出かけ、帰りの飛行機で、全部済んでいないと、泣きながら宿題をしたりする様子を見ると、小学生にここまで勉強させる必要があるのか、と息子に申し訳なく思ったこともありました。
また、6年生になって始まった模擬試験。土曜日の塾、日曜日の模擬試験と休む間もない週もあり、秋には体調を崩してしまいました。いつもは、すぐ復活するはずが、学校に行ってもお昼頃に熱が上がり早退したり、学校から帰っても、「しんどいから塾を休みたい。」と言ったりする日々が一か月以上続きました。私は、数か月後に控えた受験の方が気になり、受験まであともう少しなのにどうして塾に行けないのかという無言のプレッシャーを息子に与え、家の中でも安らぎを得ることができない雰囲気にしてしまったのではないかと思います。
こんな晴れない気持ちで参加した保護者会で、先生が言われた言葉は、この受験で一番大切にしないといけないことを思い出させてくださいました。それからは、私も吹っ切れ、その思いを胸に笑顔第一で息子と接することができました。すると、息子の体調も復活し、明るい気持ちで受験の日を迎えることができました。
志望校の受験日、先生の「大丈夫。頑張って。」の励ましの言葉に、「はい。」と力強く答え、会場に入っていく息子の後姿を見ながら、気付かない間に随分頼もしくなっていることに驚きと嬉しさで涙が出そうになりました。
この受験を振り返って、「受験して良かった」と息子が心からそう思ってくれているかどうかは分かりません。ただ、私はこの受験を通して、この子なら何があっても大丈夫、そう心から思える経験を手に入れることができました。
本当にありがとうございました。