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2016年度の作品

No.7 『 退会の危機を乗り越えて 』 清心中・女学院中/Kさん

 娘が家庭学習研究社に通塾することになったのは、たまたま兄が通塾していたからでした。そもそも勉強が大好きとか人に負けたくないとか、そういう類のものとは無縁の生活をしてきたので多少の心配はありましたが、四年生の間は比較的順調な成果を見せてくれました。
 ところが、五年生になってからが問題でした。学校の宿題をこなしつつ塾の予習復習に追われ、学校の仲の良い友達と遊ぶ機会が激減、しかも塾の成績は伸び悩む……。
 娘が意欲を失くしかけていることは親として様々なことを考えさせられました。このまま受験をさせるべきか、仲の良い友達が通う地元の公立中学校に進学させるべきか。
 六年部への継続の時期にはかなり悩みましたが、煮え切らない娘の態度に業を煮やした私はついに「退会」という選択を決意しました。
「じゃあ、明日退会の手続きに行ってくるね。」
 てっきり「うん。」という反応が返ってくると思っていた私。ところが、予想は見事に覆されました。
「何で勝手に決めるん?」
 今思えば、それが娘の精一杯の意思表示だったのだろうと思います。(塾をやめれば友達と思う存分遊べるし、いろんなプレッシャーから解放される。でも……今まで頑張ってきたことを急になかったことにして本当にいいのかな。)
 結局、再度よく話し合い引き続き通塾することにしました。それからは比較的落ち着いてきたように思います。塾の成績はいいとは言えませんでしたが、娘の中で「覚悟」のようなものが芽生えてきたのかもしれません。マナビーテストの成績はあまり芳しくないものの普段の小テストと模試の成績はまずまずの結果だったので、何となく安心して本試験に送り出すことができました。その結果は、清心中と女学院中のダブル合格でした。
 思わぬ結果に興奮気味の娘を見たとき、約一年前の退会の危機を思い出さずにはいられませんでした。(よくここまで来たな~……)
 せっかく清心中に頂いたご縁だったので娘共々少し悩みましたが、もともと女学院中を希望していた娘が最後は自分で決断しました。
「女学院で頑張るよ!」
 この一言で娘の中学受験が初めて終わったように感じました。自分で選んで入学した学校ならどんな苦難があっても自分で乗り越えてくれると信じています。私たち親は、少し遠くから見守っていこうと思います。
 我が家の中で中学受験は今回で終わりました。二回の受験を体験してきて痛感することが三つあります。

  1. 入塾・受験に際して、本人の性格や希望など普段からよく話し合っておくこと。とかく上の子がすんなりと受け入れるタイプだと、下の子も同じようになると心のどこかで思い込んでしまいがちです。
  2. 本試験に際しては、普段通りに徹しリラックスできる環境を整えること。娘の受験校は面接がありましたが、本人の希望で普段着を着せて行きました。着慣れない格好をするよりはリラックスできたようです。
  3. 塾で出会った友達は大切な仲間だということ。試験会場での和気あいあいとした様子を見て実感しました。

 最後に、娘を支えてくださった広島校の先生ならびにスタッフの皆様、心より感謝しています。アットホームな雰囲気で勉強できたことは子供たちにとって本当によかったと思います。五年間お世話になりました。

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