『涙が出たのは頑張った証拠。母は君のことを誇らしく思うよ。神様もちゃんと君のそばで、栄光の架橋をかけてくれたね。多くの人たちの支えがあったからこそだね。これからも感謝の気持ちを忘れず、出会いや経験を大切にして、人として大きく成長して欲しい。そして、置かれた場所で大きく誇らしく、君らしく咲き続けてくれることを願っているよ。中学受験で学んだ【力を出し切り、悔いはないという思い】を大切に……母より』
お勉強よりも外で友達と遊ぶのが大好きで明るく優しい性格の次男。そんな次男がなぜ中学受験に挑んだのか? それは、2つ年上の長男と同じ中学校に行きたいと言い出したからです。次男にとって、中学受験は山あり谷ありで難儀なことも多く、それは長く感じられる道のりであったと思います。
5年生の時は成績優秀者に名前が載っていましたが、6年生になった頃から名前はほとんど載らなくなりました。それもそのはずで、6年生になってからの次男は、意欲や集中力がなく、分からない問題にぶつかるとしばしばボーッとして時間を過ごしていました。そんな次男に私達夫婦は、「自分のことなのに頑張れないんだったら中学受験やめたら?」と言いました。次男は、泣きながら「学院に行きたい。」と言うので、親子で再スタートを切るのですが、また、頑張れず……。の繰り返しでした。取り返しのつかないことを私達は次男にしているのではないかと悩みながらも、もはや進むしかないという所まで来ているように感じていました。
第4回模試。私は、〈残り2か月で、何をどう勉強していけば成績が上がるのか。〉という不安と焦りでパニックに陥っていました。そこで、Y先生にすがるような気持ちで面談を希望しました。過去の成績を基に勉強方法など丁寧にアドバイスしていただくことが出来ましたが、何より、【長い人生において目先の中学受験だけを考えるのではなく、中学校に入ってから、それからもっと将来の事も考えて今の過ごし方が大事】ということを教えて頂きました。それは、志望校合格が最終目的ではなく、【悔いのない受験をすること】や【受験をやり切ったという満足感や達成感を味わわせてあげること】や【結果ではなく過程】が大切であるということでした。私は、焦るあまり個人差を無視し長男が出来ていたことを同じように次男にも求め、ひたすら無理をさせていたのかもしれないと気づかされました。次男の輝きを失った目と冴えない表情が脳裏に浮かび、それらのことと結びつき反省しかありませんでした。これからは、決して焦ることなく、次男のやっていることを認めながらスモールステップでやっていこう。そして、次男の達成感や自己効力感を高め、中学受験がより良い経験となり、望ましい成長を促すものになることを強く願いました。
私達は、先生のアドバイスで初心を取り戻すことができ、肩の力がすーっと抜けて楽になった気がしました。そして、この場面は、まさに、私達親子のターニングポイントとなったのです。
それから、ラスト2か月。私達は自然と次男の気持ちに寄り添え、同じ目線でベクトルを合わせながら取り組むことが出来たような気がします。やり切ると決めたことを確実に、問題の数ではなくどれだけ自分のものにするかに重点を置きました。間違えた問題は解けるようになるまで繰り返し、マナビーや副教材や完全チェックもボロボロになるほど繰り返しました。
試験当日。「最後の1分1秒まであきらめずベストを尽くす」(byY先生)「頑張った人のそばに神様がいる。」(byM先生)というメッセージを、次男は心の中で繰り返していたようです。そして、試験終了後、次男は満面の笑みで、
「頑張ったよ。やり切った。」
と言いました。次男のすべてから、達成感や満足感が満ち溢れていました。〈結果はどうなるか分からないけど、次男の中学受験は大成功だ。〉と心から確信した瞬間でした。