息子は附属と学院の合格発表の掲示板で自分の受験番号を見つけた時、嬉しくて涙がこみ上げてきたそうです。学院生になりたくてこれまでの人生の半分以上、沢山の事を我慢して勉強を頑張ってきました。風邪をひいた時も、骨折した時も、泣きながらでも……その努力には頭が下がります。何度思い返しても涙が出ます。いつもマナビーテストでは上位、模試もすべてA判定で本当に喜ばせてくれました。
けれども、私はあまり良い母親ではありません。一緒に勉強していても「お母さん! それ違う!」と息子に言われる始末です。いつしか独り自分の部屋で勉強するようになっていました。夏期講習の最中、息子が必死で勉強を頑張っているにも関わらず私はカープの応援に夢中でした。中学受験の経験は私には無く、これと言って学生時代に何か頑張った事も無いのに、息子が勉強を怠けるともの凄く怒る! そして私は読んでないのに色々な塾の推薦図書を買い漁っては「気が向いたら読んで!」と言って息子の部屋に置き、「マナビーテストで百点取ったら五百円! 苦手な社会は九十点以上で千円!」と言ってモチベーションを上げたものです。ですが、六年部の夏休みに私が隠していたゲームを小二の弟が見つけて二人で隠れてしていた事が分かり、とても残念でした。塾へ通わせる事を許してくれた主人にも申し訳ない気がしました。私は息子に「へぇー! 学院ってそんなに簡単に入れるんじゃー! 知らんかったわー! あんた学院行きたいん? ゲームしたいん? どっち? まぁ、来年の一月に泣くのはあんたよ! 母さんは頼んで学院生になってもらう気は更々ないんよ。これから百点は、とってもご褒美はあげん! だいたい塾へ通わせてもらって私学へ行かせてもらうって贅沢なんよ!……」などと叱りました。こんなやり取りは今までも何度もありました。ご褒美は余計な事だったと思いました。それからは弟もゲームを我慢するようになりました。
結局、私の役割は二つしかなくて、一つは家族の衣食住を整え、健康管理に徹する事でした。家族全員が元気で明るく過ごせるように出来る事は何でもやりました。
そしてもう一つは一生に一度しか挑戦できない中学受験を悔いのないようにさせる事でした。六年部のクリスマスの頃、願書の準備が整い、息子に「学院、附属、修道を受験するって事で悔いは無いね?」と尋ねると「県外とか受けてみたい」と言い出したので、灘は? と思いましたが日程的に難しいと知り、ラ・サールならと思い準備をし、T先生に受験する事を伝えました。すると先生は塾で他の生徒がいる中、さりげなく県外の入試の問題の事を教えてくださったそうです。その後もラ・サール受験の二日前に今から何が出来るか息子が相談すると的確に答えてくださいました。中でも過去問の国語の記述をするようにと言われ、それをやった事が本番で役に立ったようです。家庭学習研究社は広島県中学受験専門の塾ですので先生に受験する事を伝えて良いものか迷いましたが高橋先生を信じて良かったです。
お蔭様で受験した四校全て、合格することが出来ました。私は息子から挑戦は人を強くするものだと教えてもらった気がします。
親としては春からの通学時間、体調管理等心配は尽きません。この先、挫折する事もあるでしょう。その時は息子がこれまでの努力を思い出し必ず奮起してくれる事を信じて、私は私の役割を果たそうと思っています。
どうか呉校の先生をはじめ私たち家族を応援してくださった方々への感謝の気持ちを忘れず、元気で学生生活を送って欲しいと切に願っています。