「正門左に校舎長が立っているはずだよ。」
1月16日8時、附属の正門はすでに人で埋め尽くされていました。あまりの人の多さに圧倒されつつ中に入ると、 20m先に笑顔で手を振る集団がいました。すると息子は、振り返りもせずに私の元から走り去って行きました。
「先生にチョコもらいにいこーぜ。」
友達と人ごみに埋もれていく後姿を見送りながら、ふと見上げると青い空が広がっていました。
中学受験とはいえ成長期である息子の睡眠時間を確保するために、終了時間の一番早い家庭学習研究社を選びました。早く寝る代わりに、朝6時に起き、一時間集中して取り組むことを習慣化し、なんとか課題をこなしましたが、それでも時間は足りず、補習プリントまで手が回らないこともありました。
そこで、我が家で工夫した取り組みを二つ紹介します。
一つ目は、「見える化」することです。トイレや机のまわりなど、目に付くところへ日本地図や歴史年号、単元ごとのまとめや漢字を貼り、クイズを出し合うことで、机について勉強しなくても、自然に覚えられるようにしました。
二つ目は、細切れに勉強することです。歴史年号を一日に10個覚えるのではなく、一日5個を毎日覚えるようにしたら、3週間で覚えることが出来ました。また、テスト復習も、できなかった問題を一問ずつノートにコピーを貼って、細切れの時間をみつけては、一問解こうか?と声をかけました。
こういった取り組みを家族で行うことによって、絆も深まり楽しく問題に取り組めたように思います。ただ、これだけでは、志望校に全部合格することはできなかったかもしれません。
良く言えばマイペースで、悪く言えば危機感の少ない息子が、負けん気を見せたのは6年生の夏休みでした。
「また戻ってこいよ。」一つ下のクラスに落ちたとの報告とともに、塾の友達から励まされたと話してくれました。みんなに追いつきたくて、夏休みは苦手な算数のテキストを繰り返し解き、秋からは完全チェックに加え、歴史年号をごろ合わせで覚えたところ、やっと元のクラスにあがることが出来ました。
「おかえりー!」友達が笑顔で迎えてくれたと嬉しそうな顔。冬期実戦講習では「みんなで合格するんだ!」と連日の入試問題演習の復習に加え、完全チェック、補充プリントと家では机に向かった後姿しか覚えがないくらいでした。それでも今日は先生がこんなダジャレを言った!これがうけた!と毎日の塾通いが楽しそうでした。受験当日も、友達と会うことにより緊張がほぐれ自分の力を十二分に出せたのではないかと思います。
「小さい事を重ねることがとんでもない所に行くただ一つの道」と野球選手のイチローは言っています。毎日の勉強を少しずつ積み重ねていく習慣や、長時間勉強できる集中力、仲間と共に頑張った3年間で培った経験を、これからの人生に生かしてほしいと願います。
最後に、常に前向きで的確なアドバイスを下さった先生方、本当にありがとうございました。親はただ前向きに応援すれば、子どもは勝手に伸びていくことを教えていただいた3年間でした。これからも、息子の後姿にエールを送りながら、一緒に成長していきたいと思います。