「修道中学校へ行きたいから塾へ行きたい。」
息子がそう言い出したのは四年生の春でした。息子は小学一年生から水泳の選手コースで月曜日から土曜日まで週六日、毎日毎日水泳を頑張り、水泳の方も結果を出していたので、「いいよ。」の一言が言ってやれず、一年間行きたい気持ちを我慢させていました。そして五年部が始まる時に塾の体験へ。体験を終えて階段から下りてきた息子の目はキラキラ輝いていました。
「絶対入塾する。水泳と両立で頑張る。」
この一言から我が家の受験が始まりました。
週二日水泳を休み塾へ行き、塾のない平日は十八時から二十一時まで水泳。土曜は午前中水泳、午後から塾、そして十八時から二十一時までまた水泳。試合の日は塾を休んで水泳を優先する日々。毎日毎日時間に追われ、時間が無い中での塾の課題、予習に、毎晩寝るのは日付け越えの五年部でした。そんな五年部でも、息子は塾がとても楽しいのか、泣きごと一つ言わず、自分で考えて行動し、塾と水泳と二つ共全力で頑張っていました。親の方が息子のスケジュール管理と課題の熟(こな)せなさに泣き言を言う日々でした。
六年部に入り、どんどん課題も増え、寝る時間も体力も限界になり、毎日鼻血が十回位出、熱を出した事もない息子が、何回か熱を出し始めました。
「もう身体が限界だ、両立は辞めよう。」
息子に言うと、息子は受験を選び、九年間頑張っていた水泳を夏前に辞めました。
そして勝負の夏休み、時間を得た息子は、高橋先生と相談し、苦手だった国語を改善するため、時間がある時は読解プリントをずっとやっていました。読解プリントをやってもやっても国語の成績はなかなか上がらず、親子でやきもきしましたが、息子は最後までT先生の言う通り、読解プリントをやりました。
秋になり、私が焦るばかりで、当の息子は
「大丈夫、大丈夫、絶対合格できるから。」
とポジティブシンキング。国語が相変わらずの成績なのにどうしてこんな事が言えるのかと思いながらも黙々と塾の課題と読解プリントを熟(こな)している息子の姿を見て、
「ここまで自分の力で頑張ってるんだから、合格させてやりたいな。」と、私も欲が出てきました。
冬になり、入試本番が近づいても、息子は相変わらずのポジティブで、黙々と課題を熟(こな)し、「大丈夫、大丈夫。」を合言葉のように飄々としていました。入試当日も、息子より私の方が緊張していました。息子は、各受験校で先生方やお友達と合流すると、キャッキャキャッキャと動物園のサルの様に呉校男子で楽しそうにしていました。「今から入試だよね!?」と、私の緊張もほぐれました。
各入試、様々な表情で出てきましたが、広島学院の入試は、出て来て早々に、
「ものすごい国語ができた!」
でした。息子から、まさか国語ができたという言葉が出るなんて……感無量でした。あの読解プリントの日々が入試当日に報われました。
二年間親子で奮闘し、息子は自分の力で自分の道を切り開きました。この経験は、息子にとって大きな自信となり、今後修道生として大きく羽ばたいていってくれることでしょう。強い精神力も養われました。
塾が楽しかったからここまで息子も頑張れました。呉校の先生方やお友達、毎日息子を支えてくれてありがとうございました。