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2021年度の作品

No.10 『 息子の成長記録 』  学院中・修道中・なぎさ中/Nさん

「〇〇くんは修道向きだと思います。受験を考えてみてはいかがですか。」
 三年生の個人懇談の際、そう担任の先生から突然提案されました。中学受験を全く考えていなかった私には寝耳に水の話でしたが、聞けば修道は文武両道の学校なので、算数とサッカーが好きな息子に合うのではないかとの先生のお考えがあったようです。

 当初は本人も受験がどんなものか分からず、好きな算数の勉強ができるという理由で4年生から塾に通い始めました。しかし、サッカーも同時進行で習っていたこともあり、与えられた課題をこなすことしかしていませんでした。

 そんな勉強法では、6年生にもなると問題が生じてきました。コロナ禍で数少ないとはいえ、オープンスクールなどに参加して受験に対する気持ちは高まっていたにも関わらず、算数以外の教科、特に文系の成績が全くと言っていいほど伸びなかったのです。おまけに通っていた塾は、通塾の回数が少なく、時間のかぶらない家庭学習研究社の夏期講習にも通ってみようかという話になりました。

 説明を受けに行った際、今でも私の記憶に鮮明に残っている先生の言葉があります。息子は自分では通うことにするのかの判断がつかず、私の方をチラチラ見ながら話を聞いていましたが、先生が「まず、両方の塾に通うことは無理。体が壊れるから。」と言われました。私は、受験以前にこどもの体や心のことをきちんと考えてくださるんだと、とても感動したことを覚えています。

 そして、「どの塾に通うのかは、自分で決めよう。」「合格がゴールではないので、その後のことも考えてみよう。」と話してくださいました。先生の話を一通り聞き終わって、息子は「この塾にかわりたいです。」と自分の意志で決めて、自分の言葉で先生に伝えました。この時点で、私は息子が一回り成長できたように感じました。

 家庭学習研究社に転塾してからは勉強量が一気に増えましたが、幸いお友達にも恵まれ、楽しそうに塾に通いました。しかし、相変わらず、国語と社会の成績は思ったようには伸びませんでした。旧態依然として、進んで勉強するタイプではなかったので、私はヤキモキしていたのです。

 ちょうど懇談があったので、このことを先生に相談しました。「こどもの勉強に、どれだけ親が介入すべきですか。」と。自我も芽生えてきて、少しずつ反抗することも増えてきたこの時期に、どれだけ息子に伝えていくべきか悩んでいたのですが、先生から返ってきた答えは、
「何も言わなくて大丈夫です。」

 その言葉で私の気持ちは楽になり、それまでと比べて穏やかに息子に接することができるようになりました。実は、それからも勉強について全く言わなくなったわけではなく、「勉強したら?」と言ったことも幾度もあります。しかし、この言葉を聞いていなかったら、もっと息子を追い詰めていたのではないかと思っています。

 受験を通して、息子は「自分の意志で決めること」「計画を立てて学習すること」「目標を持つこと」の大切さを学び、自らの力とすることができました。もし、仮に志望校に合格しなかったとしても、息子が自分で下した判断でここまで歩んできたので、親子ともに後悔はなかったと思います。転塾を考えたとき、「塾をかわりなさい。」と親が指示していたら、息子はここまで満足のいく結果を得られていなかったでしょう。

 これらの力は、中学校に入っても、これからの人生においても、こどもの大きな財産になるはずで、中学受験を経験できて良かったと思う一番の理由です。最初に先生に言われた、「受験のその後のことも考えてみよう」ですが、従来息子が抱いていたサッカー選手に加えて、学校の先生か塾の先生になるのもいいな、と最近口にするようになりました。吉富先生のような先生になれるかな?これからも自分の意志で、自分の道を進んでいってもらいたいです。

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