父の落としたカミナリが、僕の受験スイッチをオンにした。
「やる気がないなら受験なんてやめてしまえ」
原因は、五年部最後のマナビーテストの悲惨な結果。
「なんでこんな言われ方をされんといけんのんや! やめるもんか!」
初めて合格してみせると思った。
父の勧めで、四年生の夏期講習から家庭学習研究社の週三日コースに通い始めた。ノートの取り方、教科ごとの学習方法…。先生方がていねいに教えてくださったのに、ずっと他人事のように感じていた。
ただ塾に行くだけ。予習もしたことがなかった。当然、マナビーテストの結果はいつも平均止まり。父はそんな僕を見かねたのだろう。
でも、いざ「頑張ろう!」と思ったものの、全てが不得意科目。それに勉強の仕方も分からない。遅ればせながら、まずは予習と復習を必ずやることにした。加えて、理科や社会の完全チェック、算数の必須問題、国語の意味調べにも力を入れた。
夏休みからは毎朝、漢字の「完全チェック」に取り組み、一つでも多くの問題にあたろうと、授業後の補習にも参加。特に国語のプリントは、徹底的に間違い直しをした。
夏休みが過ぎ、やっと成果が出始めた。最も役立ったのは、先生への質問だ。実は、僕は「こんな問題も分からないの?」と先生に思われるのが恥ずかしくて、それまで一度も質問に行ったことがなかった。
でも、勇気を出して行ってみたら、どの先生も分かるまでじっくりと教えてくださった。アタックや必須問題を繰り返し解き、補習に参加したことも大きかったと思う。そしてもう一つ。休憩時間に楽しく話せるライバルでもある友達の存在も励みになった。
そして冬には、とうとう修道中の判定が合格圏内に入った。CT対策も、試験本番の二週間前から過去七年分の問題を解いた。
「やるべきことはやった」
という自信をつけた。
本命の修道中の合格を知ったとき、
「あきらめないで良かった」
と、最高にうれしかった。同時に、支えてくれた周りの人全てに感謝の気持ちでいっぱいになった。六年後には、大学受験という大きな壁が待ち構えている。これからは自分一人の戦いだ。自分の手で、志望校合格を勝ち取ってみせる。