「私もみんなと一緒に遊びたい。」と、五・六年生の間は、いつもぐちを言っていました。私の通う学校は、中学入試を受ける人が少なく、放課後はみんな公園で遊んでいました。楽しそうに、遊ぶ約束をかわすみんながうらやましくて、私も仲間に入りたいと思っていました。
受験することで、毎日の時間をたくさんけずりました。でも、成績はぜんぜん上がりません。 そのうちに、塾なんか行かずに、学校のみんなみたいにふつうの生活をしたいと思うようになりました。正直に言うと、このことは受験が終わるまで思っていました。受験期間中も、合格、不合格のあらしで、不合格の判定が出た時は、今までの努力はむだだったと思いました。塾なんか行かんかったらよかったのに。けれど、そんなことを思ったのは受験が終わった直後だけで、少し時間がたつにつれて私の気持ちは変わりました。ある程度時間がたった今では、
「塾に行くことができてよかった。」
と思っています。なぜなら、勉強の楽しさ、おもしろさを実感できたからです。いろんな教科の先生から、いろいろな知識を教わりました。たぶん塾に行っていなかったら、勉強の苦しさも楽しさも学ぶことはできなかったと思います。学校でなんとなく宿題をして、なんとなくテストを受けただけでは、勉強量が少ないので勉強がいやにはなりません。でも、塾に行って全力で努力すれば、苦しいけれどそれだけ達成感を感じることができ、先生から勉強のおもしろさを教わることもできます。これは塾に私が通ってよかったと思った理由の一つです。
もう一つ、塾は私にとって大切なことを気づかせてくれました。
入試が終わった直後、私は落ちこんでいました。第一志望だった広島大学附属中学校の補欠繰上げ連絡がまわってこず、ちがう学校に行くことになったからでした。しかし、私はその後、今までの努力は消えないということを信じて立ち直りました。私が今までしてきたたくさんの努力は、今回の入試では実らなかったけど、いつかは絶対に実ってくれると思えるようになりました。そして、中学校でもずっと努力し続けていこうと思いました。塾に入って受験をしていなかったら、そして全力で努力していなかったら、このことには気づかなかったと思います。
この塾で、入試のことだけでなく、これからの私の生き方までも教えられたような気がします。今回の受験を通して私は、たくさんのことを考え、学びました。泣いたり、笑ったりしたけれど、こんな貴重な体験はこれからも少ないと思います。今回の受験を私のこれからの人生に役立てていこうと思います。