合格発表の日、ぼくは母と共にパソコンをにらんでいた。合格発表のページを時間に合わせて開いてみると、そこには、合格の文字がぼくの目に飛びこんできた。実感がわかぬまま、中学校へ行き、合格通知をいただいた時、やっと
「ああ、受かったんだ。」
と強く感じた。ぼくは2年間の長かった受験生活をふりかえってみた。
ぼくは5年生の時に、家庭学習研究社に来た。事務室の前を通りすぎようとした時、こんにちは、と声をかけていただいたのがぼくの緊張をほぐしてくれた。ぼくのクラスはみんなはじめての人ばかりで、とても静かだった。その時、横に座っていた子が、
「君はどこに行きたいの。」
と聞いてきた。まだ名前も知らないのに親しげに声をかけてきてくれてうれしかった。時がたち、ぼくにはたくさんの友達ができた。休けい時間も、補習の時も、みんなと一緒だった。ぼくは日に日に、勉強のやる気と楽しさが分かったような気がした。前は勉強=大変だったが、今となっては勉強はおもしろいものだと思った。いや、本当はおもしろくなかったのかもしれない。でも、友達とやることで楽しくなる、ぼくは友達とはすばらしいものだな、と強く感じた。
修道中学校の受験は、ぼくの初めての受験となる。みんなではげまし合ってぼくは教室に入った。ぼくがおどろいたのは国語のテストの物語を読んだ時であった。その話はある都会生まれの子が、田舎に移り住んだことによって自分の成績が下がったと言って全てをまわりのせいにしていた。するとその子の友達がそれを否定し、友達の大切さを共感するという話だ。ぼくはその時、友達とはいったい何なのかテスト中なのに考えてしまった。ぼくは今まで友達とは一緒にいると楽しい存在だと思っていた。確かにそうだ。しかし、本当の友達とは、友達を注意できてこそあるものではないか、と思った。ぼくにはこの時間がすごく短いながら、とても大切なことを言っていると思った。ぼくは、受験よりこのことの方が大切なのではと思ってしまうほどであった。
ぼくの長いようで短いような受験生活は、勉強よりもっと大事なことを教えてくれたような気がする。友達とは何か、むろん、ぼくはそれを人前で話すことはまだとうていできない。でもそのことを自分で考え続けることはできる。ぼくは、中学校・高校・大学に行くにつれて、いろいろな人とふれ合いながら生きていくことになる。その時に、このことを思い出せたらうれしいな、と思いながらもぼくの受験生活は終わった。