幼いころから宇宙や星の事が大好きで、図鑑で調べたり、天体望遠鏡で観察したりしていた。県民の浜にあるかまがり天文台で開かれる星の観察会にも何度もおとずれた。四年生の時に参加した観察会で、そのスタッフとして修道高校の天文班の人たちに出会った。てきぱきと手伝っている姿をかっこいいと思った。その時、母の、
「修道は中学もあるよ。」
という言葉に、どんな学校なのかと興味をもち、家に帰って修道のホームページを開いてみた。そこには、校舎の上に大きな天文ドームが写っている写真があった。この学校へ入学して、天体望遠鏡で好きなだけ星を見てみたい。この思いから夏休みに家庭学習研究社に入って、ぼくの受験勉強がスタートした。
これまで解いたことのないような難問にチャレンジしたり、テストの結果に一喜一憂したりと、これまで経験したことのない毎日を過ごした。でも、うまくいかなくてイライラすることはあっても、受験をあきらめようとは思わなかった。時には、母に
「そんなにイライラするなら、受験をやめればいいよ。」
と言われても、
「受験をやめる。」
とは一度も言わなかった。五年生・六年生と学年が進むにつれ、することも増え内容も難しくなってきた。天体望遠鏡で星を観察したいという幼い願いが受験勉強のスタートだったが、何度かオープンスクールに参加して、先生や先輩方の話を聞いたり、クラブ見学をしたりして、この学校で学びたい、修道に入りたいという思いが強くなり、受験勉強を乗り切ることができたと思っている。志望校の雰囲気を知ることは、受験へのモチベーションを持続したり高めたりするためにも良かったと思っている。
この受験勉強を通して、常に修道で学びたいという思いをもち続けた。合格したいという思いが強い分だけ受験当日はプレッシャーを感じ全く落ち着けなかった。しかし、教室へ入ると少しずつ冷静さを取りもどすことができた。これも何度か来ていたからだと思っている。試験は、できる問題を確実にすることや文字をていねいに書くことなど、先生にアドバイスしてもらったことを思い出しながら全力をつくした。試験が終わった時は、合格できるかどうかという不安しかないような状態だった。試験を受ける学校はもう一校残っていたが、自分の中では受験は完結していた。それだけ、修道に入りたいという思いが大きかったのだと実感できた。
いよいよ合格発表。インターネットで、ワンクリックで結果が分かる。とても緊張していた。父と母と一緒にパソコンを立ち上げる。修道のホームページから入って、合格発表をクリック。『あなたは、修道中学校第一学年入学者選考の結果、合格と決定いたしました。』の文字。部屋中に喜びの声があふれた。なぜかわからないが、涙が出てきた。ぼくは毛布にくるまって、だれにも見られないようにした。人生初のうれしなみだを流した。
少し落ち着いた後、入学の書類をもらいに修道へ行った。昨日見た学校となんだかちがう風景に感じた。春からは、ここで学ぶことができるという喜びがわいてきた。天体望遠鏡をのぞきたいという思いは小さくなったが、修道でやりたことをじっくりと考えていきたいと思う。