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2022年年度作品一覧

No.4 『 カメになった私 』
          清心中・女学院中・安田女子中・なぎさ中/Wさん

「中学受験、してみようかな……」
そんな軽い気持ちで四年生から家庭学習研究社の門をたたきました。
 その時は、特にこれがやりたい、あれになりたいという夢もなく、ただ漠然と勉強をしておけば自分の為になる、そう思っていました。
 しかし、現実はそんなに甘いものではなく、挫折はすぐにやってきました。初めての予習、初めての塾の授業、初めての復習、どれも私の考えをはるかに超えたものでした。そんな私をしり目に周りの子は余裕な雰囲気。同じ学校の子もおらず、勉強どころか、校舎に行くことすら嫌になっていました。

「こんなの、私には無理……。絶対続かない……」
そんな私に担当の先生がノートに言葉をくれました。
「雨だれ石をうがつ」
 どんなに小さな力でも、根気よく続けていれば、いつか大きな成果が得られる。その言葉を胸に、自分なりに少しずつ努力をするようになっていきました。時間が過ぎていくうちに塾で友達もでき、勉強に対する姿勢もちょっとずつ確立され、塾への不安は少なくなっていきました。

 でも、すぐに次の試練はやってきました。二週間に一度あるマナビーテストです。決して勉強をしていない訳ではないのに、なかなか思うように点数が取れませんでした。その度に母から「みんなもっと勉強してるんだよ。あなたももっと頑張りなさい。」と言われる日々。「わかってる、そんなこと……。」簡単な計算ミス、覚えているはずの漢字が書けない、単位間違いなど。自分が一番感じていることを言われ、くやしくて母の顔を見ることが出来ませんでした。

 周りは成績の良い子、成績が伸びている子ばかり。そんなクラスの人達の様子をみていると、自分だけがどんどんおいて行かれるような気がして不安になり、少ないながらもあった自信も失っていきました。

 そして、私の最大の弱点は先生に質問することが出来なかったことです。それは、先生に質問をして、それでも理解できないかもしれないという気持ちが先にきてしまっていたからです。それが辛くて、苦しくて仕方ありませんでした。

 そんなどん底にいた私にある先生は優しく寄り添ってくれました。「君なら大丈夫。自信をもって取り組めばいいよ。」そう言われた瞬間、胸につかえていた何かが取れたかのように、涙が自然とあふれ出てきました。

 それまでの私は周りの人と自分を比較しすぎて、自分で自分を追い込んでいました。でも、気持ちがふっと軽くなったその瞬間、「そうだ、カメになろう。わたしもカメのようにゆっくりでいいから、どんな困難にも立ち向かい、自分の心を周りの状況から守れるようになりたい、こつこつ努力するカメのようになろう。」そう決心しました。

 それからは心を癒やしてくれる愛犬をそばに置きながら、メリハリをつけて勉強するように気を付け、時には好きな曲を聴いたり、ゲームをしたりしてストレスをためないよう気分転換もしました。塾のテスト結果も、あまり順位を気にしないようにして、最後はひたすら苦手科目の克服に努力をしました。

 そして迎えた本番。マナビーテスト・模擬試験など、テストをたくさん受けていたけれど、やはり緊張は襲ってきました。そんな時、心強いのが塾の友達です。友達と話す事で緊張はかなりほぐれました。最後は自分を信じて試験に臨み、無事合格することができました。合格を目にした時の喜びは言葉では足りないくらい素晴らしいものです。

 これから受験される皆さん、自分を信じて頑張ってください。行き詰まった時は、私のように「カメ」になってみてください。努力は決して裏切らないと思います。
最後に、どんな時も私を支えてくださった家庭学習研究社の先生方、両親、そして愛犬なつ。心より感謝しています。

 本当にありがとうございました。

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