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2023年度の作品

No.1 『 中学受験をふり返って 』
               広大附属中・清心中・AICJ中/Fさん

 私は四年生の夏に土曜コースに入った。しかし、四年生の私は無に等しいくらい勉強していなかった。テスト結果にちゃんと勉強量が忠実に反映されていた。見るも無惨な結果でも、当の私は他人事のように感じていた。本気じゃないからくやしくもなかったのだ。

 そんな私が少しずつ変わったのは、週三日コースに通い始めた五年生の夏頃からだ。私は周りの人達に圧倒された。シャーペンの音を軽快に鳴らしながら鮮やかに難問(あの時の私にとっては)を解くさまを、ただ口をポカンと開けて見ているしかできない自分がとても悔しかった。私はその頃から努力するようになった。がんばった分だけ点数があがっていくようになった。

  特に成績がのびたのは理科だ。理科で習ったことが、自分の生活の中にあふれていることに気付いたからだ。寒い日は暖かい日よりもラーメンから湯気がたくさん立ちのぼったり、シーソーの端に座った方が相手を持ち上げやすかったり。自分の生活で確かめてみると、理科が楽しくてしかたなくなった。すると六年生のはじめで百点を何回かとれるようにまでなった。

 算数のケアレスミスにはなかなか手を焼いた。たくさん問題を解いて自分がどんな時に間違えるかを知り、意識すると少しずつ減っていった。そして理科と同じく、考える楽しさを知ると集中しているのが心地よいと思うようになった。

 しかし、そんな中で社会はのびなやんだ。特に歴史が苦手だった。この窮地から私を救い出してくれたのは、学校で友達とやっていた「歴史クイズ」だ。クラスの歴史好きの友達とクイズ対決をするのだが、私が問題に答えられないと友達がうれしそうな顔をする。そんな時は私の負けずぎらいが心の中でニョキッと顔を出す。不思議なことにくやしいと知識がスッと頭に入ってきた。(これだ! よし、早速……)家でも、父や母にテキストから歴史クイズを出してもらった。どんどん覚えていくと出来事が全部つながっているのが分かり、何だか歴史が楽しくなった。六年生の秋ごろには得点源のうちの一つとなった。だれかとゲーム感覚で取り組むことで「苦しい」を「楽しい」に変えられたのではないかと思う。

 それ以外にも私の受験勉強を支えてくれた大切なものがある。それは本だ。小学校低学年から様々な長編ファンタジーを読んでいた。そのため国語が好きになっただけでなく、精神面でも本は私を支えてくれた。どうしても勉強がいやになった時や思うような結果が出ない時は、小説の主人公が苦しい場面で心を奮い立たせて立ち上がる姿を思い出して「私もがんばろう」と思えた。そして不思議な事に、想像力を働かせる事が算数や理科につながっていると感じる。

 中学受験を通して、私は挑戦することの難しさと乗りこえた時の達成感を知った。こんな経験ができたのは笑いが絶えない先生方の授業、励まし合えたクラスメイトたち、いつも見守ってくれる家族のおかげだ。常に感謝の気持ちを忘れないでいたい。
中学生になったら挑戦したい事がたくさんある。

 つき進め、わたし!!

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