ぼくがそのマラソンのスタートラインに立ったのは5年の夏。学校で塾に行く人が多いのを知ったのがきっかけだ。
はじめてのテストは目も当てられない結果だった。一時は40位台をとるも、すぐに低空飛行になる。秋にさしかかる頃には、集中力のない勉強でひどい結果を出していた。第一志望の学院だなんてこのままでは到底無理。
そんなぼくに一つのターニングポイントが訪れた。親に喝を入れられ、集中力改善に努めてみると、結果は再び好転した。40位以内にほぼ毎回入るようになったのだ。
そんな中で迎えた6年部の春期講座。成績は再び右肩下がりになった。主な理由は三つ。一つ目は集中力。これは単純にボーッとしたり、テレビをダラダラ見ながら勉強していたりしたのが原因だ。二つ目はていねいさ。筆算もてきとう。漢字を覚えるのもてきとう。予習・復習もてきとうだった。三つ目は分析力だ。自己採点の点数が、実際と40点も違うことがよくあった。よく考えると全て、てきとうな事が原因である。そこで、ていねいさを気にしながら学習する事にした。すると、6月からは徐々に調子を取り戻すことができた。ぼくはW字回復に成功した……のも束の間、夏をピークに成績は低迷。解ける問題をものにできなくなった。
そして、秋ごろには100位近くになった。あれだけ近くに見えた学院合格の夢。それが非現実的に。そのとき、ぼくはまだ完全チェックに手をつけていなかった。いや、つけなかった方が正しい。確かに完全チェックが重要なのは分かる。基本をおさえることができるからだ。ぼくは42.195キロメートルの内の30キロメートルを走っている。だが残す10キロメートルに甘えたのだ。その時、先生はこう話をした。「ていねいにやるべきことをする。テストでいろいろ試していく。それをすれば、力はあるから力の出し方を理解できる。12月ごろに50位に入れる。」と。
先生はよく、ぼくに完全チェックの進行状況を聞いて、アドバイスをしてくれた。徐々に回復していくぼくの成績は、年の瀬には50位台になった。
更に受験直前の2つのテストはどちらも30位台。特に最後は31位だった。一時期は一気に滑り落ち、模試で一度合格可能性50%を取った。でも今は違う。
学院の合格発表日。自分の1年半が全て上手くいった訳ではない。でも最後には喜べた。
ぼくは成績がダメになると、前のテキストを引っ張り出していた。でもぼくはこう思う。基本をやっていないと沈下は止まらない。苦しい状況を打開できるのは、あたり前を全てこなしたとき。もし焦って、たくさんの新しいプリントを解こうとしているなら、考えてください。「じゃあ、今やっている事はもうできたのか?」と。
そして、先生の話は聞くより訊きましょう。質問したり、理解しようとしたりするかどうかで、結果が変わります。先生への質問は何でもいいです。時間配分などでもよいです。
受験生の数だけ受験の攻略法はあります。その攻略法を見つけ、良い春を迎えてください 。